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DSC-RX10M4実写レビュー

高速AFと望遠撮影が魅力!できるカメラRX10M4

今月の特集では、RX10シリーズも4作目となる「RX10M4」を「画質」にフィーチャーしてご紹介したいと思います。
なぜわざわざこんなことを言うのかと言いますと、「AF(オートフォーカス)性能」をお見せする被写体(動体)は撮影していないからです。
高速AFについて詳しく知りたい方や、野鳥・飛行機といった超望遠撮影の写真は、別のレビュアー様の記事を参考にしてください!

さて気を取り直して、今回は「第20回 国際バラとガーデニングショウ」にお邪魔して、RX10M4で撮影を行ってきました。
こちらのイベントですが会期は5月18日から23日まででしたので、本記事が掲載される頃はすでに終了しており興味を持たれた感には申し訳ないのですが、毎年開催されているようですので、そういった方はぜひ次回以降に足を運んでみてください。

やってきましたメットライフドーム

開催初日にお休みをいただいて、平日14時過ぎになりましたがようやく現地に到着。案の定、マダム多すぎ問題発生です。
ただ、時間の流れとともに来場者もぐんぐん減っていきました。夕方近くになると食事処などは閉まってしまいますが、ゆっくり見たり写真を撮ったりしたいなら、15時以降に来場するのも一つの手だと思います。

そしてどうでもいいですが西武球場、頻繁に名称変わりすぎ。

会場(球場)に入る前に、上の写真のような数百もの鉢が並べられた展示物があり、しかも入口の左右に2枚もあって、圧巻でした。全体像を撮ろうとするとどうしても人が写り込んでしまうので、写真は片側の一部のみで申し訳ございません。
会場内にも目を見張るような作品が多く展示されており(素人、プロ問わず!)、混み具合や熱気からも、20年続く歴史あるイベントであることを、初心者ながら体で感じられました。

ガーデニングってすごい

RX10M4の性能検証の前に、まずは素晴らしい作品をご覧ください。
こんなにすごいんだから、みんなプロなんでしょ?と思いますよね。自分もそうでしたが、どうやら素人の方はもちろん、中には高校生の方々の作品もありまして…琴線に触れちゃった作品にはメッセージカード書いちゃいましたよ、おっさんなのに。
そもそも趣味のガーデニングの域を超えてるでしょ、庭作ってるよねこれ(ガーデニングだからそういう意味ですが)、という作品も多く展示されていて、まさに撮影意欲があふれてくるイベントでした。

以下、すべて開放で撮っています。ほんの少しだけ明るさと彩度をいじっています。パソコン上なら画像は拡大して見ることもできます。

このように、花だけではなく、花をとりまくデザインや、庭や室内インテリア、はたまた外壁なども含めたトータルな作品も多く、時間が経つのを忘れるほど被写体に困らないイベントでした。

なお今回使ってみてわかったことは、RX10M4はどうやら露出が明るめになりやすいようです。液晶モニターには実物よりもかなり明るく、そして彩度が高めに表示されます。実際に撮った写真はやや控えめになっていますが、モニター上では見た目が派手になっているので、こういった処理は好みが分かれるところでしょう。
気になる方はRAWで撮影して、あとで現像することをおすすめいたします。

RX10M4はコンデジ

さて、RX10M4は見た目に反して一眼カメラではなく、分類的にはコンデジになります。 見た目は一眼カメラですし、コンパクトなデジカメと言う割には、まったくコンパクトではないため違和感があるかもしれませんが、レンズ交換できない一体型だからコンデジなのです。

見た目はこっちでも 分類はこっち

ではなぜ本体がここまで大きいかというと、RXシリーズは画質を重視した「1インチ」という撮像素子(センサー)を搭載しているためです。 1インチと言われてもピンとこないかもしれまんが、一般的なコンデジは1/2.3インチというサイズですので、面積比でざっくりと2倍以上は大きくなっています。

そして一眼カメラとなるとセンサーサイズはさらに大きくなります。フルサイズと言われるセンサーを搭載したカメラは、RX10M4と比較すると、なんと7倍以上もセンサーが大きくなります。
センサーが大きくなる分、カメラ自体も大きくなりますが、画質など様々な部分で優位になります。その1つに高感度に強いという点があります。

RX10M4の気になる性能 > ISO感度

今回のテーマの1つが「許容できるISO感度はどの程度か」です。

どのくらい高感度に強いか?

詳しい説明は省きますが、センサーが大きいとISO感度が3200とか6400とか上がっても、粘り強い描写をしてくれますが、センサーが小さいと、ISO感度を上げるとすぐに写真が汚くなります。
ここでいう「汚さ」は、一般的にノイズ(ざらつき)が多くなり色味が破綻していきますので、そういう意味での「汚さ」です。
ただし「許容」というのはまさに主観です。答えは人の数だけあるわけですが、皆さんもソニーの最新型1インチセンサーはどの程度まで描写できるのか気になるところだと思いますので、ISO感度を変えながら同じ被写体を撮影してみたいと思います。

RX10M4の気になる性能 > 手ブレ補正

もう1点、気になっていることは手ブレ補正機構の性能です。

どのくらい手ブレに強いか?

テレ側(600mm側)で最大4.5段の手ブレ補正効果を実現と公式で謳っていますので、数字だけ見ると「そこそこ」効き目がありそうです。
ですが600mmともなるとレンズは以下の写真のように長くなり、少しの手ブレでもレンズが大きく動くため、想像以上に手ブレが影響してきます。
4.5段という補正効果は望遠撮影時にどの程度働くか、実体験に基づいて感想を書きたいと思います。


望遠側はそこそこ伸びるため、結構目立ちます…

ISO感度の違いによる描写

ではさっそくISO感度の違いによる描写の違いを見ていきましょう。
先に説明したとおり、ISO感度が上がるにつれてノイズが増え、色味も実際のそれとは異なり、鮮やかさが失われていくはずです。


mm:50 ISO:100 SS:1/15 F:3.2 

mm:50 ISO:200 SS:1/30 F:3.2 

mm:50 ISO:400 SS:1/60 F:3.2 

mm:50 ISO:800 SS:1/125 F:3.2 

mm:50 ISO:1600 SS:1/250 F:3.2 

mm:50 ISO:3200 SS:1/500 F:3.2 

mm:50 ISO:6400 SS:1/1000 F:3.2 

mm:50 ISO:12800 SS:1/2000 F:3.2 

どうでしょうか。パッと見る限りほとんど差がわからないかもしれませんので、中心付近の3か所を抜き取って別の画像にまとめました。


クリックで別ウインドウ原寸大表示

ISO感度が上がるにつれて暗部がつぶれ、鮮やかやデティールが失われていくのがわかると思います。
ISO1600くらいから拡大するとノイズが多いかな、とわかります。ISO3200以上になると葉脈の描写がされにくくなっていますので、デティールを求める方は避けたいでしょう。
しかしながら、拡大表示をしないならISO3200でもほとんど気にならないのではないでしょうか。

予想ではISO800くらいからガタガタになると思ってましたので、良い意味で予想を裏切るなかなか良好な結果でした。
さすがにISO12800とかはきついですが、日中の撮影なら1インチセンサーでも問題なさそうに思えます。

焦点距離の違いによる描写

さて次にズーム時の描写はどうでしょうか。

大体になりますが、ピントが合っている部分を□マークで示しました(1枚だけ大幅にずれているからです…)。ボケ具合も参考にしてみてください。

24mm
28mm
35mm
50mm
70mm
85mm
100mm
135mm
200mm
300mm
400mm
500mm
600mm

たまたま?600mmだけ大きくホワイトバランスが異なっていますが、焦点距離による解像度の低下はほとんど見られないような気がします。ここまで大きく撮影できるのはRX10M4の強みでしょう。

これらの写真を見ると、大きく手ブレをしているものはなさそうですが、後から撮った写真を見て「画質よくないなあ」と感じられた場合、ピントがわずかながらずれている可能性が高いと思います。
RX10M4の手振れ補正機構は4.5段分とはいえかなりぶれやすく、思っていた以上に手ブレ補正の効きは弱く感じました。
これは自分がISO200固定で撮っていたからというのもありますが(ISO感度が低いのでSSが稼げないから「ぶれる」)、望遠側はもちろん、広角側の撮影時も、油断しているとすぐ「ぶれた」写真が量産されていたため、常に気合を入れて撮る必要がありました。
気になる方はISO感度の上限を、許せる範囲でバランスよく設定しましょう。

ちなみにRX10M4の魅力の1つである「600mm」という超望遠はすさまじいのですが、普段使いでは使おうとしない限り無くてもまったく困らないと思いました。

まとめ

そのほか気になった点をいくつか挙げていきます。
わかってはいましたがバッテリーの持ちがいまいちでした。滞在時間は3時間弱程度でしたが、バッテリーは25%ほどまで減っていましたので、1日撮影する場合は2個以上は必須でしょう。

でもご安心を。弊社レンタルではバッテリーは標準で2個付属します。

また、ファインダーを覗きながらタッチ操作でフォーカス範囲をいじれる「タッチパッド」機能は、オリンパスやパナソニックのマイクロフォーサーズ機では超便利な機能の1つですが、RX10M4のタッチパッドはいまいち、いや「いまに」くらいでした。
若干もたつく反応で、さらに液晶モニターの外周はタッチ対象外のようで(液晶の全面を操作可能、に設定しても)、画面端にピントを合わせたいときはやきもきしました。
マイクロフォーサーズをメインで使っているため、同じ感覚で操作できなかったのが残念です。

さらに広角撮影時、ごちゃごちゃした「解像感が強く求められる被写体」は、どうもぼんやりした写りになりやすいのでは?と感じました。
日中、光の豊富な屋外撮影ではまた違った感想になるかもしれませんが、今回のそこまで明るくないドーム内撮影では、1インチセンサーというセンサーサイズの小ささの弱い部分が露呈してしまったように思えます。
もちろん、拡大したり等倍鑑賞をしない限り杞憂に過ぎないのかもしれません。
私のコメントが厳しめの評価だけで、一般的には十分合格点をもらえるレベルの描写だと思うのですが、解像感が求められる被写体を撮るときは、通常より十二分な光を確保したほうがよさそうです。

望遠撮影についても一言・・・。
この写真のように同じ位置から、広角から超望遠まで全く違う写真が撮れますので、まさに隙無し、オールラウンダーなRX10M4。

24mmと600mm

「備えあれば」とは言いますし一眼カメラのようにレンズ交換しなくてもいいのは便利なのですが、普段の写真撮影ですと超望遠ってそんなに頻繁に使うものではないと思います。
もともと大きめのカメラな上に、600mmにするとさらにでかくなってしまいますので、場所によっては(人目が気になって)使いづらいですし、無理に使うものでもありません。
1台で何でもこなせるのは魅力ですが、超望遠写真を撮る予定が無いならRX10M4は無用の長物なのかもしれません。

良かった点もお伝えしますと、コンデジならではの機能「ステップズーム機能」が便利でした。
ステップズーム設定を行うことで焦点距離が「24mm」「28mm」「35mm」…ときれいに揃ってくれるので、几帳面な方や今回のようにズーム域別の検証を行う際にはとても便利な機能だと思います。
ただしシャッターボタン周りに備わっているレバーでは機能が働きませんでしたのでズームリングを回しましょう。

言うまでもないことですが、公式も謳っている通りオートフォーカスが非常に早く、気持ちよくピントが合いました。明暗が乏しい被写体はやや弱そうでしたが、それ以外はすさまじい性能。
ここまで高性能だと動く被写体も撮影してみたくなりますね。

最後に、RX10M4はこのような紹介記事を書かずともレンタルで超人気商品です。
特にイベントごとが多い時期はすさまじい勢いで予約が埋まっておりましたので、レンタルご希望の方はお早めにご検討の上、ご予約いただけると幸いです。
以下の画像から商品ページへジャンプできます。

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