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SDカードのスピードクラス総まとめ

スピードクラス、知っていますか?

4K画質の動画は撮る(カメラ)も、見る(テレビ、モニター)も、記録する(ディスク、メモリー)、そのすべてとても大切で、どれか1つが欠けていても成り立ちません。
スマートフォンやコンデジでも4K画質の動画撮影ができるようになりつつありますが、いざ撮影しようとしてもメモリーカードが対応していない場合、強制的にストップするかそもそも記録を開始できない仕様となっています。

そういったことで躓かないために、今月はメモリーカードの「スピードクラス」、特に新規格「ビデオスピードクラス」について、わかりやすく解説したいと思います。

スピードクラスが生まれた背景

近年はカメラの進化がすさまじく、高画素、高精細な画像が業務用途でなくともかんたんに撮れるようになりました。
それに伴い記録されるデータサイズも著しく増加してきています。

例えば、先日発売されたばかりのiPhone Xで撮った写真は、大体4000×3000ピクセル、画素数で言うと1200万画素ものサイズです。これは一昔前の数十万円もする高級カメラ並です。

iPhone Xの画素数とピクセル数

またフルサイズミラーレスで人気のソニーα7R IIはさらに巨大で、約8000×5300ピクセル、約4240万画素というとてつもないサイズの高画質な写真が撮影できます

α7R IIの画素数とピクセル数

α7R IIの方は保存に必要な容量も巨大で、スタンダード画質設定でも1ファイルあたりなんと10MBにもなります。
連射撮影をする場合はこの10MBの大きなファイルを1秒間に5枚も撮れますので、たった20秒で 50MB/1秒×20秒=1000MB=1GB ものデータ量が生まれます。

いくらカメラ側が高性能で処理が早くても、記録するSDカードも高性能でないと記録が追いつきません。
つまりα7R IIの性能を発揮させ、安定した撮影を行うには、このデータ量を書き込める高速で大容量なSDカードが必要になってくるわけです。

カメラが要求する性能に満たないSDカードを使うといったいどうなるでしょうか。
そうです、書き込みが間に合わなくなり撮影が途中で止まってしまいます。もちろん無理やり連射し続けることも不可能です。
そのためどんなに高性能なカメラを使っていてもSDカードがイマイチだと記録することもままなりません。メーカーが推奨するSDカードを使うべきです。

信頼できるブランド品を選びましょう

APEXレンタルではパナソニックやサンディスクといった有名ブランドのメモリーカードのみ取り扱っています。以下は一例です。

カメラが必要とする性能の指標「スピードクラス」

とは言うものの、具体的に「このメーカーのこの型番のSDカードを使いましょう」と案内されることはほぼありません。ではどのように判断すればよいかというと、SDカードの性能を判断する指標として「スピードクラス」という規格がありますので、これに準じたかたちでメーカーが指示をしてくれています。

「CLASS 10」とか「CLASS 4」とか、聞いたことある!という方がきっといるはずです。

スピードクラスの見分け方

クラス“いくつ”なのかを確認するのはかんたんで、SDカードの表面を見ていただくとアルファベット「C」の中に数字が書いてあるマークが見つかると思います。(上の画像)
それがスピードクラス、つまりSDカードの性能ランクを意味していて、数字が大きい方が高性能になります。(10が最高です)

また、よほど古いSDカードでない限り、その他にもマークや数字が書いてあると思います。
その中でアルファベット「U」の中に数字が書いてあるマークが見つかるでしょう。
これは「スピードクラス」の次の世代の規格「UHSスピードクラス」を表すマークです。
UHSとはウルトラハイスピードの略です。

UHSスピードクラスの見分け方

こういったながれで、今回ご紹介する「ビデオスピードクラス」が更に続いて登場したというわけです。
これまでと違い、ビデオスピードクラスからはその名の通り、ビデオ(動画)記録に必要な指標を示すものとなっています。
この規格が生まれた背景には、きっと最初にお話した高画質な動画、静止画撮影が身近になってきたことが大きいのだと思います。

ビデオスピードクラスの見分け方

ビデオスピードクラスもこれまでと同様に、カードの数字を見ればわかります。(上の画像)

なおそれぞれのスピードクラスは最低保証速度を表します。最高速度ではありません。
マークさえわかってしまえば、それを見ればすぐ数値がわかるようになっています。(U1とU3だけちょっとイレギュラーですが)
以下、表にまとめましたので眺めてみてください。

最低保証速度スピードクラスUHSスピードクラスビデオスピードクラス
90MB/sV90
60MB/sV60
30MB/sU3V30
10MB/sC10U1V10
6MB/sC6V6
4MB/sC4

ビデオスピードクラスは誰でも必要?

エントリークラスのカメラを使う場合は、まだまだビデオスピードクラスについて考えなくても良いでしょう。ビデオスピードクラスを考慮すべき撮影は、2017年11月時点で4K動画やごく一部の撮影フォーマットを使う場合に限られています。

しかし技術の進歩は凄まじいので、近い将来、高性能なSDカードを利用しなくてはならない時代が必ずやってくると思います。今回の記事でかんたんにでも頭の片隅に入れておいてください。

なお今回はビデオスピードクラスに焦点を絞って解説したいと思いますので、これまでのUHSスピードクラスなどについては過去の特集にてご確認ください。

画像クリックでジャンプします。
SDカードの選び方

ビデオスピードクラスが生まれた背景

さて今回、すでに存在していたSDカードについての記事を刷新しようと思い立った理由は、上でも少し触れましたが、4K動画などで「高ビットレート」撮影が身近になったからです。
さらっと新しい言葉が出ましたが、高ビットレートと言うのはかんたんに言い換えると高画質設定のことです。

具体的にどういった数値から高画質なの?と聞かれると少し困りますが、例えばごくごく一般的なビデオカメラでフルハイビジョン撮影をした場合のビットレートは、大体20Mbps台です。

HDR-CX680のビットレート

対して、パナソニック一眼カメラDC-GH5での4K動画撮影時は 150Mbps 、ソニーハンディカムでは 100Mbps という数値になります。フルハイビジョンと比較すると数倍数値が異なりますので、高ビットレートと言えるのではないでしょうか。

FDR-AX40のビットレート

ちなみにDC-GH5では、400Mbpsもの高ビットレートで4K撮影できる機能が、発売後のアップデートにより追加されました。ここまで行くとものすごい高ビットレートでなにやらすごそうなことはわかりますが、実際に数値がわかってもいまいちピンときませんよね。

400Mbpsを記録するのに必要なSDカードの性能はいったいどれくらいなのでしょうか。

単位を統一して比較しよう

さっそく必要なSDカードを探してみましょう。
方法は簡単で、カメラが要求するスペック、今回の場合400Mbpsと、SDカードのスピードクラスを比べればいいだけです。

意気込んでいざSDカードを見てみると、まず間違いなく躓きます。同じような数値が書いてありますが、45MB/sというように数字の後ろが少し違っていて、そのままでは比較できないからです。

単位が違うのでそのままでは比べられない

カメラ側は○○Mbps、SDカード側は□□MB/s。なぜ偉い人は単位を揃えないのか…理由はわかりませんが、計算自体はとても簡単ですので見ていきましょう。

結論を先に書いてしまうと、○○Mbpsの数字を8で割ってください。
逆にSDカードの□□MB/sの数字に8を乗算してもOKです。
今回は400Mbps/8=50MB/sになり、最低でも50MB/sを保証してくれるSDカードを使えば問題ないことがわかります。

MbpsとMB/sの違いを順にご説明しますと、まず「M」「Mega」のことで、100万を意味する接頭語となります。
100万を全部「0」で書くと「1000000」となり冗長になりますので、省略しているだけです。

M は「100万」

次に、「s」「second」つまり「秒」のことです。

「s」の前にある「p」および「/」はどちらも同じ「per」のことで、「〜につき」「〜ごとに」と言った意味になります。
よって「ps」や「/s」は「秒につき」「秒ごとに」となり、「毎秒」を表しているわけです。

ps や /s は「毎秒」

最後に「b」「B」ですが、これは同じアルファベットの「ビー」でも意味が違います。とてもいやらしい世界です。
まず「b」は「bit(ビット)」という単位になります。これはデジタルデータを扱う際の最小の単位です。
そして「B」は「Byte(バイト)」という単位の略称で、8つのbitをまとめたものを1Byteとして扱う決まりになりました。
8bit=1Byteという部分が先に説明した8で割る/掛けるになっていたわけです。

B = 1Byte = 8bit

上で挙げたSDカードを例にして意味をまとめると、以下のようになります。

MB/sとMbpsのまとめ

ただし、ここまで長々と書いておいて非常に心苦しいのですが、SDカードに記載されている□□MB/sは最高書込速度です。
カメラが要求しているのは最低保障速度ですので、MB/s表記で比較するのは間違いなのです。
スピードクラスのマークから最低保証速度を割り出し、要求されている速度とを比較することが正解です。

具体的には次の項目で計算します。

□□MB/sは消費者を騙している必ずしも常にその速度が出るわけではないので注意が必要です。

具体例を挙げて比較してみよう

さて、最初に例としてあげたごく一般的なフルHDのビットレート(24Mbps)というのは、計算してみると 24Mbps = 3MB/s 以上の転送速度があれば良いことになり、4MB/sを保証するSDスピードクラス4(Cのマークに数字の4)のSDカードで事足りることがわかります。
2017年11月の時点で、SDスピードクラス10が主流ですので(主観)、そこからランクを下げても十分記録できるというレベルです。

次に4Kのビットレート(100Mbps)はどうでしょうか。
こちらは 100Mbps = 12.5MB/s のことですので、スピードクラス10、あるいはUHSスピードクラス1(Uのマークに数字の1)の最低保証速度10MB/sをわずかですが超えてしまっています。
つまり4K撮影には30MB/sを保証するUHSスピードクラス3が必要になってくるわけです。

最後にDC-GH5の400Mbpsを見てみましょう。
今までと同様に計算すると、 400Mbps = 50MB/s を要求されているわけですから、このビットレートに耐えられるSDカードは、60MB/sの速度を保証するビデオスピードクラス60(Vのマークに数字の60)以上、となるわけです。かなりハイスペックなSDカードを要求されているのがわかります。

GH5 400Mbps記録はビデオスピードクラス60が必要

以下、レンタル館で取り扱いのあるカメラで選択できる主なビットレート(Mbps)からMB/sへ単位変換した値を表にしました。この表からも、4Kは撮らずフルHDで十分という方は、スピードクラス10(UHSスピードクラス1)のSDカードでほぼ問題ないことがわかります。

要求スペックカメラと撮影モードの一例必要となるスピードクラスと最低保証速度
500Mbps
=62.5MB/s
EOS 6D Mark2
4Kタイムラプス動画
V90
(720Mbps=90MB/s)※
400Mbps
=50MB/s
DC-GH5
C4K/4K ALL-Intra
V60
(480Mbps=60MB/s)
200Mbps
=25MB/s
DMC-GH4
フルHD All-Intra
U3
(240Mbps=30MB/s)
100Mbps
=12.5MB/s
一般的な4K撮影U3
(240Mbps=30MB/s)
60Mbps
=7.5MB/s
ソニー製ビデオカメラ
XAVC S 4K
一眼レフ フルHD
C10
(80Mbps=10MB/s)
28Mbps
=3.5MB/s
ソニー製ビデオカメラ
AVCHD PS
C4
(32Mbps=4MB/s)
24Mbps
=3MB/s
ソニー製ビデオカメラ
AVCHD FX
C4
(32Mbps=4MB/s)

※ただし2018年1月現在このスペックを満たすカードは販売されていません

まとめ

まとめです。
途中でも言っていますが、大多数の方にとってはスピードクラス10で十分で、この記事のビデオスピードクラスの知識は現時点では無用の長物かもしれません。
ですが、今やスマートフォンでも4K動画を撮影できる時代になってきたため、もうまもなく、4Kや高ビットレート動画撮影がより身近な存在になってくると思います。
そのとき、適当なSDカードを使ったので撮影ができなかった、失敗していた、といったことが無いように、本日読んでいただいた内容を是非思い出して、役立てていただければうれしいです。

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