コレ一本で大体のものがハイレベルで撮れちゃう
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのレビューなのだ
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROは2016年11月に発売された、オリンパスのプロフェッショナル高倍率ズームレンズです。
一時期は入手が困難なほどの売れ行きでしたが、そこそこ落ち着いたということもあり、レンタル館でも今春取り扱いをスタート、一躍人気商品となっています。
またその後オリンパスマイクロフォーサーズボディ「OM-D E-M5 Mark II」も入荷したため、今回はこちらのレンズとボディを持ち出して、東武動物公園と多摩動物公園へフレンズを撮影しに行ってまいりました!
普段は単焦点レンズしか使わない筆者ですが、この日は珍しく高倍率ズームレンズで撮影に臨むということで、果たして使いこなせるのか?一抹の不安もありましたが、そういった背景を察して楽しんでもらえたらと思います。
なお今回の記事ではE-M5 Mark IIについてはあまり言及していませんのでご了承ください。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROってどんなレンズ?
さっそくですが、いつものことながら先にスペックをかんたんにおさらいしておきましょう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(以下、12-100 PRO)は、35mm判換算24mmの広角域から200mmもの望遠域まで、レンズ1本で撮影できてしまうマイクロフォーサーズ規格のプロフェッショナル向け高倍率ズームレンズです。
価格と性能に見合った大柄な風貌と、ハイクオリティなデザインが両立。所有感を満たすには十分すぎる一品となっています。
E-M5 Mark IIに装着したようすです。
やはりレンズがかなり大きめです。ここからさらに鏡筒が伸びるため、どうしても威圧感は拭えません。小型軽量が好きな自分にとって、この大きさはウィークポイントです。
12-100 PROはいわゆる「便利ズーム」の範疇となるため、利便性を重視するため画質を犠牲にしている、というイメージがあると思いますが、どうやらこの12-100 PROは違うようです。
以下、同位置から24mm、200mmと撮影したものをご覧ください。(クリックで拡大表示)
少し調整していますが、なかなかスッキリ&クッキリとした描写になっていると思います。
画質のことを考えるとレンズは光学的な制約があるため必要以上に小さくできませんから、きっと限界まで調整した結果このサイズなのでしょう。
ズームレンズという安心感
以下は、たまたまアルパカへご飯をあげようイベントに遭遇したときに撮ったものです。
ズームレンズだとほぼ同じ位置からの撮影でもこのように画角を変えて撮ることができます。突発的な場面でもそのまま対応できるので、大変便利で安心ですね。
もちろん単焦点レンズでも複数本持っていればレンズ交換して撮ることができますが、ズームレンズと比べて決定的瞬間を逃してしまうことが多くなるのではないでしょうか。
余談ですが、飼育員のお姉さんが「餌をあげるのを焦らすと唾を吐いてくるので気をつけてくださいねー」と言ってましたが、もふもふしていて穏やかそうな割には若干心が荒んでいる気性が荒いのですね。
手ぶれ補正ありという安心感
ところで、このレンズにはレンズ内手ぶれ補正機構が搭載されています。
えっ?望遠レンズなら普通のことでは?と思う方もいそうですが、オリンパスは自社カメラのボディ内に手ぶれ補正機構を搭載しているため、比較的最近までレンズ内には手ぶれ補正機構がありませんでした。
それならばなぜ、今となってレンズ内にも手ぶれ補正機構を搭載してきたのでしょうか?
パナソニックボディユーザーにも自社のレンズを普及したいがため?
いえ、残念ながらそれはおそらく違い、「5軸シンクロ手ぶれ補正」というすさまじい補正効果を発揮する技術が登場したためと推測できます。
5軸シンクロ手ぶれ補正とは、
「レンズ」の手ぶれ補正が「ボディ」の手ぶれ補正と協調することで、最高6.5段分の補正効果を実現する
というもの。
6.5段分がどの程度かわかりづらいですが、例えば絞りISO感度を25600にしないとぶれてしまう場面でも、ISO200とかで撮れる、といった感じでしょうか。(間違っていたらすいません)
このように手ぶれ補正の力でISO感度を上げずとも手ぶれしない写真が撮れるとなると、ちょっと意味は違うかもしれませんが、ISO感度という指標で優れるフルサイズセンサーのカメラが持つメリットに対抗できるということになりますよね。
そう考えるとすごい性能です。すっごーい。
なお、5軸シンクロ手ぶれ補正に対応するレンズは2017年8月時点で2本しかありません。
今回の「12-100 PRO」はその中の1本です。(対応も何も、オリンパスでレンズ内手ぶれ補正を搭載したレンズは、2017年8月時点で2本しかありませんでした)
ちなみにレンズのみでも5段もの補正効果があるので、ボディ内手ぶれ補正がないボディでもかなりおすすめできるレンズと言えます。
ではさっそく効果の程を見てみると、シャッタースピードが1/50、200mmの望遠撮影でもぶれず、かなり余裕でした。
もっとシャッタースピードを遅くしてみましょう。
左が1秒、右が2秒でいずれも換算200mmmです。適当に棒立ちして撮りましたが、1秒だと若干ぶれていましたが、気をつければ普通に実用できそうです。
そして2秒は・・・200mmだとかなり気合を入れないと難しそうです。
望遠側でこの結果ですから、広角側の場合はぶれの影響が少なくなるため、よりいっそうシャッタースピードに余裕をもった手持ち撮影ができそうですね。
被写体ぶれを防ぐにはSSを調整しよう
さて、今回の撮影は日中でしたので、実を言うと何も考えなくてもある程度のシャッタースピードを確保することができたため、ほとんどの写真は手ぶれをしていません。
ただし動物はちょこちょこ動きますから、「手ぶれ」ではなく下のような「被写体ぶれ」した写真がたくさん生み出されました。
これを防ぐにはシャッタースピードを調整して(場合によっては感度を上げて)素早い動きに対応するしかありません。
被写体ぶれは手ぶれの概念とは違うものですから、意識して臨まないといけません。やはり動体の撮影はちょっぴり難しいと思います。
それではフレンズの写真をお楽しみください
暑さのせいでぐだぐだでつらそうな方が多いですが…特にさいたまちほーは暑かったからね、仕方ないね!
なお画像はクリックで2倍のサイズに表示できます。過度な補正はしていませんが、若干補正あり、トリミングなし。
記載のないISO感度はオートです。
●東武動物公園 / ■多摩動物公園
まとめ
撮った写真の情報を見ると換算200mmで撮影した写真が多く、広い動物園では望遠レンズが必要ということを身をもって実感しました。
もう一声、望遠撮影ができれば尚良ですが、そうなると70-300mmというような焦点距離のレンズになってしまうので、そのレンズ1本では広角撮影ができなくなります。
動物だけ撮るなら良いでしょうが、広角域がなくなると子供と動物を一緒に撮りたくてもある程度の距離を取らないと難しくなります。
旅行などもそうですが、あれもこれも撮りたくなるシチュエーションには、バランスに優れたレンズなのかもしれません。
最後に12-100 PROの欠点を上げておきましょう。
先にレンズが大きめで威圧感があると書きましたが、個人的な意見だと、E-M5 Mark IIとの組み合わせではレンズが持ちづらい、ズーム操作がしづらい、の2点が気になりました。
カメラの右手グリップが浅すぎなのと、小さすぎて小指が余り持ち手に力が入らないのも原因でしょう。つまりバランスが悪すぎるのです。
これがE-M1 Mark IIだと話は違ってくるのかもしれませんがあいにく当社では取扱がありませんから残念ですが評価できません。
一方、重さは慣れれば気にならなくなり、ストラップを使えばさらに軽減されました。ということで重さよりも大きさが欠点なのではないかと思います。
また開放F値が固定で、開放から画質もよく使いやすいのですが、普段単焦点レンズを使っているからでしょうか、F4の明るさだとボケ具合が寂しい…そしてちょっと汚い…。
以前の記事にも書いた気がしますが、やはり明るいレンズは正義です!声を大にしていえます。
あとは、購入する場合の値段ですか…
購入せずともレンタルがあります!
購入は難しくても、そうです、レンタルがあります。
動物の写真を見て
「かわいい!」
「ウケる!」
「よし、次の週末はみんなで動物園だ!パパはりきっちゃうぞー」
「自分が何のフレンズだかわからない…」
などなど思った方は、お約束ですが、以下のページよりレンタルできますのでぜひぜひどうぞ。