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SEL100F28GMで撮ったボケ味を見て写真が上手くなった気になろう

SEL100F28GMで撮ったボケ味を見て写真が上手くなった気になろう

ソニー交換レンズ「SEL100F28GM(FE 100mm F2.8 STF GM OSS)」が、2017年3月、世に放たれました!
ちょうど桜の季節でしたので、購入できた方々は意気揚々と撮影を楽しんだのではないでしょうか?

SEL100F28GMは「ボケ」の美しさを追求したレンズの決定版…それなら当レンタル館も黙っていられません。さっそく取り扱いを始めています!


オオシマザクラ

さて、ボケとはWikipediaを引用すると以下のようになっています。
『写真におけるボケ(ぼけ、英: bokeh)とは、レンズの焦点(被写界深度)の範囲外に生みだされるボヤけた領域の美しさ、およびそれを意図的に利用する表現手法である。』Wikipedia ボケ (写真)

ではSEL100F28GMは、能力のパラメータをボケに全振りしたレンズなのでしょうか?
ノゥ!それは間違った解釈です。
マクロレンズのようなシャープさと、まるでフォトショップで後処理したかのような、なんとも言えないなめらかすぎるボケ。
その両方の性能を有するレンズが、この新生STFレンズです。

今回の記事はSEL100F28GMで撮ってきた写真とともに、特長であるボケ味のレビューおよび他レンズと違いはあるのか、などを語っていこうと思います。

STFレンズとはなんぞや

STFレンズ、と上で発言しましたが、STFって何の略でしょうか。
STFとは Smooth Trans Focus の略のようで、公式では以下のような説明があります。
『アポダイゼーション光学エレメントという特殊効果フィルターを内蔵することで、滑らかで理想的なぼけ味が得られるレンズです。』SEL100F28GM 特長

アポ…?
えっと…難しく考えるのは止めましょう。
つまりは「魅力的なボケを追求したレンズです」ってことでOKだと思います。

そのボケ味をより顕著に表現するには絞らずに開放で撮るに限ります。
作例では特に断りがない限りすべて開放F2.8(T5.6)での撮影になっています。(ほとんどの掲載写真が拡大できます)


マーガレット

ところでこのブログを読んでいるみなさん、STFレンズってご存知でしたか?

2017年現在、ソニーのカメラ事業は「Eマウント」というミラーレスカメラを中心に展開されていますが、以前は「Aマウント」という一眼”レフ”カメラが主流でした(Aマウントは無くなっていません、今もあります!!)。

実はそのAマウントのレンズラインナップに「SAL135F28」というSTFレンズがあり、これも素晴らしいレンズだったようですが、最新のEマウントボディしか持っていない方がこのレンズを使うにはアダプターを介さないといけません。

そこまでしても価値のある、魅力のあるレンズなのですが、重さも体積も増しますし、ちょっとめんどくさいですね。


ネモフィラ

以前は貧弱だったEマウントレンズのラインナップも、高画素ボディの性能を余すことなく発揮できる「G MASTER」レンズが数多く発売され充実してきましたので、

そろそろか・・・(ざわざわ)

と、Eマウント版STFレンズをほのかに期待していた方も多かったはず。

そんな中、満を持してSEL100F28GMが発表されたわけです。発表当時の歓喜した様子が、容易に目に浮かびますよね!

……値段を見て「やっぱりね」と落胆した方々も少なからずいらっしゃったはずですが。

EマウントのSTFレンズはオートフォーカスが利きます

上でお話したAマウント版STFレンズはマニュアルフォーカスのみのレンズでした。
じっくり腰を据えて作品を、というような心構えで撮影するならまだよいのですが、やっぱりいいレンズは日常的に、しかも気楽に使っていきたいものです。

どうせ今回のSTFレンズもマニュアルフォーカスなんでしょ?

と思ってるアナタ。 ご安心ください。

Eマウント版STFレンズはオートフォーカスで撮影できます!

さらに強力な手ブレ補正機構をレンズに搭載しました。これでボディ内手ブレ補正機構がないαボディでも手持ちで撮影できます。
自身もα7IIシリーズなど持っていないので、「圧倒的感謝っ」としか言いようがありません!

さらにさらに、マクロ域での近接撮影にも対応できちゃうという…ソニーさん、ユーザーの欲しているポイントを的確についてきてますね。

柔らかく、そして鋭い描写

さて、すでに何枚か写真を載せてきていますが、α7R IIとレンズで適当に撮った記念すべき1枚目の写真がこれです。

3枚目がこれ

Oh…

語彙力がなくて申し訳ないですが…

「これはいったい!?」

「すごーい」

「ふつくしい」

α7R IIは4000万画素オーバーである高画素機ですからボディの力も相まってなのでしょうが、SEL100F28GMなら何も考えずに撮った写真でもこの印象深さが生まれちゃうわけです。
なんていうかこってりしてますよね。

建造物の写真も歪みがなく(カメラ、レンズによる自動補正も入ってると思います)、周辺の解像感も素晴らしい。


菜の花

そして「俺がSTFレンズだ」と言わんばかりのこのボケ味です。
このメリハリ感。
主役を手軽に目立たせることができます。


マーガレット

前ボケもきれいですよね。
美しいボケのバーゲンセールです。

ちなみにこの日の撮影で一番難しかったことは、風が強くて常にお花が揺れていたことです。
基本はオートフォーカスなのでピントを合わせるポイントを決めてしまえば、あとは風がおとなしくなるのを待つのみ。
まだ風はちょっぴり肌寒かったのですが、暖かな春の陽気の中、気持ちよく撮影しました。

APS-CサイズのEマウントボディでも使えるか

フルサイズなんて持ってない!昔のNEXで使えないの?
という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、任せてください。
手持ちのα6000(NEXではなくてすいません)でも撮影しに行ってきました。
決してα7R IIがレンタルに出ちゃっているからではないです。

ここから下はα6000で撮った写真です。
日中の屋外撮影ではないためブレ予防のためISO感度を多少上げてます。
そのため若干ノイジーかもしれませんが、手ブレしてしまっては台無しなので、致し方ありません。


シオマネキ

杞憂でした。
普通にきれいです。

解像感も申し分ありません。
ピント面はビシッ!と、水槽の汚れや中のチリまでも見て取れます。
逆にピントがずれると極上のなめらかなボケ。
問題が見当たりません。

失礼、問題ありました。
ボディに似合わない大柄なレンズと、35mm判換算150mmの望遠レンズになってしまうことです。
そのため水槽からそれなりに離れて撮らないとフレーム内に収まらない被写体も多くいました。

後者は逆にそれが上の写真のように迫力をもたらすこともありますし、一概に悪いこととはいえませんが、狭い室内ではお世辞にも使いやすいとはいえません。
今回の場合、人がいないような時間帯を狙ったので大丈夫でしたが、距離を取ることによって、前方に邪魔が入ってしまうこともありえます。

とはいえ小さな生物も大きく写せるので、距離を取ることによる効果もあって、STFレンズの魅力的なボケ写真が手軽に撮れます。


フエヤッコダイ

トビハゼ

いかがですか?APS-Cユーザーの皆さん。
(少し大ぶりのレンズですが)APS-Cサイズのミラーレスでも十分使えますよ!

以下、3枚目、4枚目にリアルな質感(本物だからおかしな表現ですが)のトカゲとカエルがいますので苦手な方はご注意を…。

▼見たくないのですっ飛ばす▼

実際のところ他のレンズと比べてボケ具合ってどうなの

柔らかなボケ味のことが強くフォーカスされているSEL100F28GMですが、本当に他のレンズと比べて美しいのか?ボケ具合に違いはあるのか?
気になる方もいると思います。自分は気になります。

ということで、マクロレンズながら同じような焦点距離を持つSEL90M28Gも持ち出し、同条件の下で撮影、比較してみました。

SEL100F28GMで撮影


SEL100F28GM F5.6で撮影

SEL100F28GM F8で撮影

SEL90M28Gで撮影


SEL90M28G F2.8で撮影

SEL90M28G F5.6で撮影

SEL90M28G F8で撮影

その結果、次のようなことを感じました。

ぱっと見た感じ、あまり変わらない

・SEL90M28GもなめらかだがSEL100F28GMは開放からよりなめらかなボケ(しかも有効F値は後者のほうが暗い)

・絞るとSTF独特の魅力が薄れ、同様のレンズとの差が縮まる(気がする)

・SEL100F28GMのオートフォーカスは正確だがそこまで速いわけではない

・SEL90M28Gは被写体が小さいからかオートフォーカスが迷うことが多々あった

・SEL90M28GはF2.8開放時、端の光源がレモン状になり、きれいな円形にならない

・前ボケはボケ具合の差が若干見える

・後ろボケはSEL90M28Gの方は若干汚い(芯が残っているように見える)

SEL100F28GMの後ろボケに関しては、公式にも記載がある「点像の輪郭を柔らかくすると同時に、二線ぼけの発生を抑制。」という効果が発揮されて、開放から非常になめらかな、芯が残らないボケを生み出しているのだと思われます。
(これが最初の方で書いた「アポダイゼーション光学エレメント」の実力なわけですね)

ということで、結論が出ました。

SEL100F28GMは他レンズとのボケ味の違いはある

ただし、これは私的な感想です。
間違いなく素晴らしいレンズだと断言できますが、被写体によっては大きく違いは出ない可能性もあるので、ご自身で他のレンズと天秤にかけていただき、ご判断ください。

ちなみに撮影状況はこんな感じでした。
マニュアルでフォーカスを合わせて撮ってます。

最後に

息を呑むようなハッとする作例はない、簡易的なレビューでしたが、少しでも雰囲気を感じ取っていただけたでしょうか。
タイトル通り自分は上手くなった気になれましたので、このレンズに興味を持った方と同じ気持ちを共有できたら嬉しく思います。

以下、レンタルページへのリンクです。

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